忘れられない松島の狐 巨の字
「大阪の人なら屹度妙に艶っぽく感じられるかもしれない」で始まる巨泉、妻のはま子、門人の麗子が東京、日光、松島を巡った三人旅の落とし噺。
三人の案内役のいたずら好きの善さんが「お稲荷さんの社」に奉納してあった「一対の土狐」をつかみ出して掌にのせた。巨泉が見ると「是は仙台の堤製のものだ、其古色、胡粉の色、丹の焼け方と云ひ頗るつきの掘出し物で珍中の珍である、欲しくて仕様がない」善さんの手から巨泉が自分の手に乗せようとした時、はま子と麗子が「おやめなさい」と止めた。帰りにも巨泉は社の扉を「細目」に開けてのぞいたが、持ち帰ることができなかった。
あー残念至極。
「或る夜の夢に此お狐さんが枕頭に顕はれて何事かもの云ひたげに見えた」云云と堤製の狐に未練たっぷりの巨泉であった。
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